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海賊二次文自己満足ゾサ風味 黄色いあの子偏愛 管理者:ここのつ
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第2弾です
相変わらずアホの子サンさん ある意味無敵のタッグだと思うんです




背伸びして 爪先立って 大風呂敷広げて 精一杯 格好つけて
笑ってね
苦ければ苦いほど効果があるような気がしてたんだ

珈琲を一杯いかが?
もしきみが いやでなければ
ぼくと
珈琲を一杯いかが?


06 coffee&medicine


朝食後、みんなより少し遅めの珈琲タイムが、ここ最近ふたりの日課である。
一戦終えた静かなキッチンのカウンターに向かい合わせの。
響く音はごりごりごり・・・
「昼どーしょっかなぁ。いきなり暑くなったからなぁ、やっぱ冷たくさっぱり系か」
レディのために落とした珈琲の余りをすすり、ふーっと煙を吐く。
ウソップは冷やし中華が好きだよなぁ。ナミさんなら野菜たっぷりの冷たいパスタ。うーん枝豆の冷製スープ。デザートはジュレ・・・
戦うコックさんの貴重なのんびりタイム。とりとめもなくメニューを考える。口に出しているのは向かいに座った人物に聞かせるためで、彼の着眼点はけっこう献立のヒントになるのである。
「気温差が激しいときは体調を崩しやすいからな、あんまり体を冷やすのはよくないかもしれない。またすぐに天気が変わるかもしれないし」
「まじか。レディがお風邪を召されたらコトだぜっ」
「うん。女は体が冷えやすいからな」
頷く相手はスツールにちょこんと腰掛けている。小さな蹄で器用に挽いているのは、薬ではない。抱えているのも彼の商売道具であるところの薬鉢ではなく。
それは、豆挽きである。
案外力がいるのだが、さすがに船医は慣れたもの。短い足をぷらぷらさせて調子よく豆を挽く。
キッチンには珈琲の香が満ちている。

「こういう時期はホルモンバランスも崩しやすいんだぞ」
「へ?ホルモン?」
古くて重い豆挽きは水車の形。背中にハンドルがついている。ある港の骨董屋でサンジが見つけてきた。
チョッパーは水車を見たことがないけれど、この豆挽きがたいそう好きなので、きっと水車も好きになるだろうと思っている。
「ホルモンって、・・・人間のもそういうのか?」
「うん。人間以外にも使うけどな」
「へ~、医者も使うとは知らなかったぜ。スラングだろ?臓物の」
「医療の専門用語だぞ!俗語じゃねえ!」
「まじで?」
「うん!ドクターに教えてもらった!」
「へ~!バラティエのやつらに教えてやったらびっくりすんな。あいつらサウスの田舎の臓物料理だと思ってんぞ?すげーなチョッパー」
「え、えへへ、嬉しくねーぞコノヤローv」
ごりごりごーり。快調に挽く。大量のコーヒー豆だ。
食後やおやつの珈琲を淹れるときは必ずサンジの挽きたてだ。しかしアイスコーヒーはそういうわけにもいかない。
先日までの寒風降雪はどこへやら、二日前から急に暑くなってきた。アイスコーヒーの売れ行きがすごい。おやつの時間などホットで飲むのはロビンとサンジくらいのものだ。
一日分のアイスコーヒーを作りおきするため、朝食後にチョッパーは大量の豆を挽く。それをサンジがアイス専用のブレンドと濃さで、作って冷やす。
チョッパーは豆挽きが大好きだし、サンジの役に立つのが大好きなので、毎日朝食後の珈琲タイムを楽しみにしているのである。

「根っこの食べ物は体をあっためるぞ」
「根菜系かぁ~」
ぷはぁ~と締まりなく煙を吐いていたサンジの眉根がキュ、と寄った。
「おいチョッパー。頭のよくなる薬作ってくれよ!」
唐突だったが、だいたい理由はわかった。「うん」と言ってあげたかったが、いかな天才医師でも無理なものは無理なのである。実をいうと同じ頼みをナミからも受けた。
「あのクソ野郎、何度も何度もなんっども!言ってんのに!調理途中の食材を食いやがって!!」
鼻から噴出する二本の煙。合わせて炒めておいしくなるところだった芋と野菜と肉を。寝惚け眼の船長が食ってしまったのである。下味をつけていたのが運のつきであった。満足げにうまいとのたまった船長は、夕食の間中メインマストに縛り付けの刑になっていた。
言い添えるが船長は、おろして使う予定だったニンニクまで丸呑みしてしまったので、その夜の男部屋は寝苦しいことこの上なかった。女性陣は半径三メートル以内の接近禁止を申し渡した。ちなみに今日の朝食には消臭効果のあるハーブのサラダが山盛りに出た。
「残念だけどサンジ、ルフィのは、ウソップの島に入ってはいけない病と同じくらい治せない」
チョッパーは重々しく首を振り、サンジはがっくりと項垂れた。
「じゃあさ、せめてあっちは作ってくれよ?」
なんだっけと首を傾げるチョッパーにサンジが顔を寄せる。

「ふさふさの実」

そう、夢のふさふさの実。悪魔の実にあらず。
「今試行錯誤してんだ。難しいんだぞ」
「そうか頑張れ!ちょっとくらい食材わけてやっから」
「増毛薬はドラムでも人気があったんだけど、たいていはニセモノなんだよ。本当に効力のあるものはまだ発明されてないんだ」
「早く呑ませてぇな~」
「誰に?」
「ひっひっ、ハゲがいるじゃねーか」
「ゾロは髪の毛あるぞ!?」
恥じらいから一転悪魔のにやにや笑いを浮かべるサンジにチョッパーは慌てた。てっきりサンジが使うのかと思っていたのに。いやサンジにだって髪の毛はあるが。断じて薄くはないが。
対ゾロ仕様のサンジはかなりあくどい、というか、無茶なのだ。が、
「だーかーら、マリモ育てんだよ。丸くすんだ!」
「もっと丸くか?」
「おう!目指せアフロだ!」
「おお!アフロかスゲー!」
「アフロマリモ剣豪だ!」
「強そ~~!!」
チョッパーの目はすっかりキラキラである。サンジは夢見心地にうっとりと。
「うまくいったら俺も呑む」
「え、サンジもアフロか?!」
「いんや・・・よさ毛だ」
ぼそりと小声で。ほんのり頬を赤らめた。
「髭だよヒゲ。うまくいって長くなったら、三つ編みにすんだ」
「ヒゲだけ増毛か」
「三つ編みにして、さきっぽはリボンで結ぶんだ。チョウチョにして」
「部分的な増毛ってできんのかな・・・」
「がんばれドクター!!」
「お、おう俺頑張る!!」
がしっとふたりは手を組んだ。

その後チョッパーはやる気満々でコーヒー豆を挽いた。サンジは昼食の献立を決めた。人参と蕪のクリーム煮。鳥の照り焼き。焼きたてパン。水車の豆挽き。満ち満ちた芳しい香。
「サンジ!引き出しいっぱいになったぞ!」
「うっしゃ、ほれご褒美」
あーんとチョッパーが口を開け、放り込まれるチョコレイト一粒。カウンター越しにふたりはにっこり笑う。

「ゾロ、あんた楽しみねぇ~」
「アフロかゾロ!いーなーアフロはすげーんだぞ!!」
「・・・・・・」
「時々、あのふたりに日々の健康を預けてるのが怖くなるのは、俺だけか・・・?」
「あら、ほのぼのとしてとても良いわ」
クルーの見守る中、船医とコックの珈琲タイムは続くのである。



おわり
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